あなたが世界なのだ
--「人生のメッセージを聴く トランスパーソナル心理学」
諸富 祥彦 著 講談社現代新書 P226より--
自分の心の傷やさみしさをごまかすことなく、
しっかりと見つめる。
そしてそれと共にいて、
そこから聞こえてくるメッセージに耳を傾ける。
「私の癒し」に必要なこんな作業を続けていくと、
ほかの人の心の傷やさみしさに対しても
やさしい気持ちになれてきます。
そればかりではありません。
豊かさを求めてひた走ってきた社会のありさまや
そのような社会をつくり出してきた私たち自身の心、
そしてやはり同じようにして傷つけられてきた大自然、
この地球そのものの叫びにも、
耳を傾けることができるようになっていきます。
ここで、「私の癒し」と「他人の癒し」
「世界の癒し」「地球の癒し」とが、
それぞれ別個のものではなく、
本来ひとつながりであることが
じわーっと実感されていきます。
頭で理解するのでなく、
自分自身の心の傷への共感をベースにして、
じわーっと実感されてくるのです。
宮沢賢治ではありませんが、
世界全体がしあわせにならないうちは、
私のしあわせもありえない。
そんな心境になってくるのです。
これまでの心理学が、
個人の幸福追求、自己実現の手助けをするあまり、
かえって人を”自分”へのとらわれ=個人主義の牢獄に閉じ込め、
安手の癒しと引き換えに真の幸せから遠ざけてきたのと反対に、
トランスパーソナル心理学では、
他人の痛み、地球の痛みをみずからの痛みとし、
この社会の歪みをみずからの歪みとして
引き受けるような世界に開かれたあり方、
そんな険しい道をあえて目指すのです。
ここでは、
「私はほんとうはどう生きるべきか」という自己探求の問題と
「この世界はどこに向かうべきか」という社会変革の問題、
そして「私たちが傷つけた地球の生命をどう癒すか」という
エコロジーの問題とがひとつに溶け合います。
私たち一人一人の心を傷つけ生きづらくしている何かと、
この社会に歪みをもたらし地球を破壊へと追い込んでいる何か。
その両者は実はコインの裏表のような関係にあるのです。
従って、私たちに今求められているのは、私たちの内と外、
「精神世界の変革」と「社会変革の運動」とを
ひとつの流れと見て、同時に働きかけていくことです。
インド生まれの哲人クリシュナムルティは言います。
「あなたが世界なのだ」。
したがって世界を変えたいのなら、
まず自分自身が変わらなくてはならない、と。
「人生のメッセージを聴く トランスパーソナル心理学」諸富 祥彦 著 講談社現代新書 P226より
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